【Interview】日比谷OKUROJI
OKUROJIで出会った東ちづるさんと妖怪たち
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2023年9月8日(金)~24日(日)、日比谷OKUROJI(以下「OKUROJI」)にて、俳優/一般社団法人Get in touch(以下「Get in touch」)代表であるあずま ちづるさん(画・文)の「妖怪魔混(まぜまぜ)大百科原画展&Get in touch」を開催しました。「あの東ちづるさんが本を出したよ、しかも東さん自らが描いた妖怪の本、それは面白そう、原画あるけど、じゃあうちの施設で原画展やってみよう」と、書籍の出版元の方と当社のメンバーとの会話からトントンと話が進み、ちょうどOKUROJIの3周年と同じタイミングで実現したこの原画展&Get in touch、東さんにお話を伺いに会場に行ってきました。
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東さんと妖怪との出会いは
子供のころ
原画展の会場には、東さんが描いた妖怪の原画を61点展示。どの妖怪も生き生きと愛嬌に満ちた姿をしています。東さんの妖怪との出会いはいつごろですか?
東:子どものころ、リアルな友達づくりが苦手だったんです。いつも一緒に群れて行動するような関係は合いませんでした。そんなとき、脳内で妖怪という友達をつくり、妄想の中でその世界を4th placeのような居場所にして楽しんでいたんです。「現実から逃げることは良くない」という否定的な意見もあると思うのですが、私は“逃げられる場所をつくる”ことはとても重要だと考えています。現実には厳しいことがたくさんあるからこそ、脳内では自由なことを思い描くことで、シビアな現実にも向き合えるのかな、と。私にとっては妖怪を描くことは日常で、昔から学校の授業中にらくがきして怒られていたくらいです。そんな妖怪のイラストをSNSにアップしたことから、書籍の出版、展示会につながるだなんて予想もできなかったですね。
妖怪でつながる出会い
高架下で新たな出会い
展示会場が日比谷にある鉄道高架下の施設「OKUROJI」ですが、いかがですか?
東:“高架下”というと”うす暗く落ち着かない場所”という先入観を持っていましたが、実際に訪れてみてびっくり!予想に反してOKUROJIはおしゃれで魅力的な名店が並ぶ“大人の街”でした。銀座・日比谷・新橋のお客様がミックスされてインバウンドのお客さまもいらっしゃる、これまで展示してきた渋谷とは全然違う方々に訪れていただいている感触があります。この会場に来ていただいた方は、OKUROJIには初めて来たという方も多くいらっしゃいましたが、皆さんOKUROJIを気に入っていただいたようですよ。
――OKUROJIの通路の壁面に妖怪を描いてくださいましたね、ありがとうございました。
東:「施設の壁面に描いて本当にいいの?」と戸惑いましたね。ウォールアートも初めてだったし。美術家の仲間に相談してポスカを使って勢いで白線を30分で仕上げました(着色は後日)。原画展会場の向かいのお店の方から「うちのポスターを描いてくれませんか?」とオファーがあったこともご近所付き合いのようで楽しかったです。「染めを体験しに来ませんか?」と他のお店から声を掛けていただいたり、フラットな関係がとても心地よかったです。
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“まぜこぜ”と“魔混”
妖怪は多様性の映し鏡
原画展の会場の右半分は東さんが代表を務めるGet in touchの活動紹介コーナーです。Get in touchが目指すのは誰も排除しない“まぜこぜの社会”、今回の書籍タイトルには“魔混(まぜまぜ)”。それぞれには、共通した想いがあるのでしょうか。
東:今ある社会はマジョリティが無自覚に自分たちの都合で作ってきたものなので、マイノリティが追いやられてしまっている。例えば、足の不自由な人と一緒にまちを作れば、スロープやエレベーターが多いまちになると思いますが、歩ける人を前提にまちづくりをしているから、階段だらけになってしまう。だから、マイノリティ目線ってすごく重要なんです。妖怪も昔からネガティブでマイノリティな存在・概念で、人々が排除しようとする対象でもありました。そのあたりをリンクさせたかったという思いがあります。妖しの世界ですから“魔”をタイトルに入れたかったので、“魔混”という表現になりました。
エンタメで面白がる
妖怪とD&Iの世界
共通するのはダイバーシティ&インクルージョン(D&I)という考え方ですね。実際にどう行動して良いかわからないことも多いです。私たちにできることはありますか。
東:今回のこのような機会は多様性を知ってもらうアンテナショップ的な空間になれたと感じています。私たちのスタッフには、視覚障害や車イスユーザーなどの特性のある人が多くいます。だから、まず私たちと交流してもらい「いろんな人がいるんだな」と実感してもらうこともとても大切だと思います。実際にマイノリティの人と交流してみると、最初は戸惑うけれど段々と慣れて「私たちも同じ人間なんだ」と感じられる。そんな実体験がまず必要かなと思います。私たちはアート、音楽、舞台、映像などエンタメコンテンツをたくさん持っているので更にブラッシュアップしていろいろできますよ。その時にはたくさんの社員の方々に参加いただいて、D&Iの動機づけにしていただけたら嬉しいです。

・施設名称 日比谷OKUROJI
・所  在 東京都千代田区内幸町一丁目7番1号
・営業時間 店舗毎に異なりますので、
      公式HP又は店舗までご確認ください
・アクセス JR有楽町駅 日比谷口  徒歩6分
      JR新橋駅 日比谷口   徒歩6分
      東京メトロ銀座駅   徒歩6分
      東京メトロ日比谷駅  徒歩6分
      都営地下鉄内幸町駅  徒歩5分

取材編集/くらしづくり・まちづくり室
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俳優/一般社団法人Get in touch代表
あずま ちづる
1960年生まれ。ドラマや映画、コメンテーター、講演など幅広く活躍中。2012年一般社団法人Get in touch設立。東京2020 オリパラ公式映像「MAZEKOZEアイランドツアー」企画・構成、キャスティング、演出、衣装デザイン、総指揮を担当。23年3月「TEDxKyoto」スピーカー登壇。『妖怪魔混大百科』(ゴマブックス)など著書多数。
1960年生まれ。ドラマや映画、コメンテーター、講演など幅広く活躍中。2012年一般社団法人Get in touch設立。東京2020 オリパラ公式映像「MAZEKOZEアイランドツアー」企画・構成、キャスティング、演出、衣装デザイン、総指揮を担当。23年3月「TEDxKyoto」スピーカー登壇。『妖怪魔混大百科』(ゴマブックス)など著書多数。